幸せを探して
記憶
チリリリンッ…チリリリンッ…


「うるさっ…」


私の気持ちの良い眠りは、朝一番の目覚まし時計の音で妨げられた。


せっかくの眠りを妨げるなんて、目覚まし時計を恨みたい。


私はやみくもに手を動かし、目覚ましを止めた。


閉じかけた瞼を強制的に開きながら起き上がり、大きく伸びをしてから隣を見やる。



そこには、幸せそうな顔で眠りにつく美花がいた。


大音量の目覚まし時計の音でも起きない美花は、ある意味で凄いと思う。


「ほら美花、起きて。朝だよ」


私は、美花を優しく揺さぶりながら呼びかける。


いつもの台詞だ。


「んんっ、分かった…」


美花は、すぐに返事を返してくれるものの…。


仰向けからうつ伏せへと身体の向きを変え、再び寝ようとしている。


(ちょっと、学校遅れちゃう!)


彼女の毛布を私は勢いよく剥ぎ取った。


「早く起きて!」


「…っ!?寒いっ!!美空酷いよ!」


先程とは真逆で、すぐに目を開けた美花はすかさず私に抗議する。


「美花が起きないのが悪いんでしょ?」


私は冷静に指摘をする。


「真冬なんだから、もう少し優しくしてよね…」


朝から文句をこぼす美花は、それでも渋々ベッドから抜け出した。
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