《クールな彼は欲しがり屋》

歓迎会が終わり、店を出ると
「お疲れ様です。私、彼が迎えに来るので~ここで失礼しま~す」
と的場さんが笑顔を見せてお辞儀をし、軽やかな足取りで先に歩いて行ってしまう。

「俺もこれから女の子と会うんで失礼します。お先でーす」どことなく軽い言い方で江波さんも的場さんとは反対方向へ歩いていく。

「春川さんは駅?」
のんびりした口調で聞いてきた和泉さん。

「はい、和泉さんも」
電車ですか?と聞こうとした時、間に佐野さんが入ってきた。

「二人とも、まだ帰さないわよ。二次会いくわよ。課長も行けますか?」
沢田課長を注目した私達。

沢田課長は、腕時計を見たあと
「そうだな。まだ時間は若干取れそうだ」
と返事をした。

私の頭の中は、沢田課長にいつ返そうか。そればかりを考えていた。

何がなんでも今日中に返さなければ。

歩いている途中じゃ無理だし。次の店でも無理そうなら一体いつ返そう。

二人きりになるには、まず話さないと。

私は沢田課長に視線を向けた。

全く目が合わない。

というか、あえて合わせてくれない雰囲気だ。

なんか怒ってるの?

私が忘れてくれって言ったから?





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