少女マンガみたいな恋がしたい!
忘れんな。
斉藤くんって本当にモテるよね。
マンガか!って思うくらいに周りの女子はキャーキャー言っている。
昼休み、里ちゃんが日直の仕事で昼食をとってすぐにいなくなったから、私は廊下でたくさんの女子に混じって斉藤くんを観察。
「うるせぇな。
ちょっとは黙れねぇのかよ」
こうやって暴言吐いても、女子の黄色い歓声は止まらない。
「斉藤くーん」
「あ?」
周りと同じように声をかければ不機嫌丸出しな顔で嫌そうに声を出す。
顔を歪めてもイケメンに変わりない。
けど、女子にその態度はちょっとねぇ。
そして隣の倉橋くんも負けず劣らずモテモテ。
斉藤くんに比べて、ファンサも多くて先輩からも絶大な人気を誇る。
「倉橋くーん」
「紗柚だ〜」
倉橋くんに声をかけたら私に気づき、ほんわか笑顔で名前を呼んで手を振ってくれる。
癒しだー。
これぞ王子様。
少女マンガの王道ヒーローって感じ。
倉橋くんの笑顔に満足して手を振り返し、女子たちの後ろを通る。
でも、そんな斉藤くんも私のためって行動する王道っぷりを見せてくれたんだよね。