蒼姫様は、守られません!!③~完~

前進

「さぁ、愛桜様。早くお乗りに」

「分かってる」

「遠崎さん、お願いします」



運転するのは、遠崎 折(トオザキ オリ)

私の実家の使用人



「で、椿さん」

「何でしょう、愛桜様」

「藍月は辞めてきたの?」

「そうですよ、貴女が戻るのと同時に帰還なので」

「へぇ、悪いけど私はすぐ戻るわ」



そう告げて、到着した車から降りる

椿(ツバキ)さんとは、門で別れることになっていた



「そうそう、椿さん」

「何でしょう?」

「彼女は、気付いてたわよ」



そう言うだけ言って背を向けた

彼が放った、存じ上げておりますという台詞は耳に届かなかった



「愛桜」

「皐月」

「行こう、もう集まり始めてる」



手を引いて歩き出す皐月は、

縁側を通るときふと足を止めた



「大丈夫ですか?」



使用人の誰かかと思ったけれど

彼女は私を見て顔を歪めて、遂には気を失った



「お嬢?」

「あぁ、折さん。姉様を運んでさしあげて」
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