イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
「小さい頃からの幼馴染なんです。会社でも同期だし、振られるってわかってて告白して、気まずくなって関係を壊すのもいやだし……」
恋愛経験のない私が拓海に告白したって確実に振られる。
けれど、拓海以外の男の人を好きになれない私はいつまでたっても恋愛経験ゼロのまま。その上ダメもとで告白する勇気もない。
振られることも諦めることもできずに、最低男に惚れ続けたまま十年、私は同じ場所でぐるぐる回り続けている。
「こじらせてるなぁ」
テーブルに両肘をついてうなだれる私を見て、スミレさんが呆れたようにため息をつき目の前のビールジョッキをあおる。
豪快に喉を鳴らしてから、ぷはーと息を吐いた。
そしてそのまま私の方へ身を乗り出す。
「いっそ、窪田くんに抱いてもらえば?」
「はぁ!?」
とんでもない発言に、鼻の上の眼鏡がずり落ちた。