イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 

なぜこんなことに……。
私は拓海が帰った後のリビングで、ぐったりとうなだれる。

拓海のペースにのせられ、毎週金曜日に拓海の家へ料理を作りに行くことになってしまった。

絶対いやがらせだ。
枕で殴ったしかえしだ。

そう思うと気が重くなる。はぁーっと大きなため息を吐き出すと、隣で里奈が頬を膨らませながらこちらを見ていた。

「いいなぁ、お姉ちゃん」
「は?」

いいってなにが? 
不思議に思いながらテーブルから顔を上げ、ずれた眼鏡をかけなおす。

「私も拓海くんの家にお料理つくりに行きたかったのに」

里奈はぷくぅと頬を膨らませてそう言う。
すねた表情がわが妹ながらかわいい。

「なんで? 料理つくりに行くのなんて面倒でしかないのに。里奈、料理するの好きだっけ?」

普段里奈が料理をする姿なんてみたことないのにな。と、ぱちぱちと瞬きをすると、里奈が呆れた表情になった。


 


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