イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 


しかも、拓海の冷たげで整った外見はそんな高飛車な言動が似合っていて、想像するだけでちょっとドキドキしてしまう自分がまた悔しい。

……こんなんじゃだめだ。
私は拓海への恋心をあきらめて、いい加減前へ進むって決めたんだから。

こぶしを握り唇を噛んだ私を見て、スミレさんが「ふーん」とつぶやく。

「佳奈ちゃん、窪田くんの家に料理を作りに行くの、そんなにいやなんだ?」
「いやですよ。これ以上拓海にかかわりたくないのに」

このままじゃ、またずるずると拓海に片思いをし続けてしまいそうでこわい。
今でさえもう十年も片思いをしつづけているのに、この不毛な記録をさらにのばしたくない。

深刻な表情で肩を落とす私に、スミレさんが思いついたように言った。

「じゃあ、窪田くんが嫌いな料理を作ればいいんじゃない?」

突拍子もない提案に、意味がわからない私はぱちぱちと瞬きをする。



 
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