イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
 




「すみません、名刺を届けに来ました」
「あ、ありがとうございます」

営業部の入り口も立つと、アシスタントの女子社員が笑顔で近づいてくる。

会釈しながらフロアを見渡す。

ひとくちに営業と言っても、日本各地にある営業を統括する営業統括部や、ネットやテレビなどのメディアに営業をかけるメディア営業部など、たくさんの部署がある。

横目で拓海のデスクがある島のあたりを確認した。

……外回りに出ているのかな。

拓海の姿がないことにほっとして、でも姿が見れないのは少し残念で。
自分でもよくわからない気持ちになる。

「それから、出張費の申請書で確認したいことがあるんですけど……」

気を取り直して持ってきた書類を見せながら言うと、後ろで人の気配がした。
振り返ると、川口さんが背後から私の手元をのぞきこんでいた。


 
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