「彼」が死んだ日、「世界」が壊れた日

よかった、けれど。
迷子のまま、独り知らぬ街をうろついて、ただひたすら雨に打たれ。

走り疲れて、飢えて、死ねばよかったのに。



駄目だ、わたし。
御崎がいないだけで、こんなに自虐的になってしまう。


ああ、

「……御崎」


空を見上げ、手を伸ばす。

真っ暗な空。
灰色の雲。

掴めもしないそれらに、手を伸ばした。


「なにが、したかったの」


こんなわたしを生かして、あなたはわたしに何を望んでいるの。
わたしはとっても弱くて、ばかで、人見知りが激しくて。
御崎がいないと、クラスにも馴染めないような人間なんだよ?
< 84 / 100 >

この作品をシェア

pagetop