これは倫子ちゃんと龍之助くんのはなし
しばらく枕に顔をうずめて布団の中でゴロゴロしていたが、
そのままのそのそと起き上がり、スウェットの状態で居間に降りて先ほどに至る。


コタツの上には仕分けされた年賀状が置かれていた。

普段居ない親も顔を合わせて一緒に駅伝を観ながらコタツから1度も出ずに年賀状を読んでいると、

携帯が確認せずとも誰だか分かる馴染みの音で鳴り出した。

先ほどまでのダラダラ感が嘘のように素早く携帯を開いて中を読む。


『いえのまえにいるからでてきて』


なんの捻りもないシンプルな内容なのに、それだけで嬉しくなる。
全部平仮名なのは急いでたからなのか、それとも学力の問題か。

新年の挨拶とか言ってくれてもいいじゃん!とか、なんで何も返してくれなかったの!とか色々文句を言おうと思ってたのに。

龍ちゃんの顔を見たら色々吹き飛んでにやけてしまって、悔しいのに嬉しくなる。
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