❀乱世の恋物語❀
新たな始まり
舞「きゃっ!!!」

周りを見渡すとそこは見慣れた風景だった

舞「やったー!タイムスリップ成功っ!」

その頃

秀吉「姫はどこだ!」

半兵衛「知りません」

秀吉「なぜ半兵衛はそんなに冷静なんだ!」

半兵衛「知りません」

舞「失礼しますっ!」

襖を開けたらそこの空気はピリピリしていた

舞「え…っ?」

秀吉「舞!!どこへ行っていた!」

舞「お、お散歩……です」

秀吉「ずいぶん長い散歩じゃなあ。部屋に戻ってよし!」

半兵衛「私も失礼します」

廊下に出たら半兵衛さんに呼び止められた

半兵衛「舞」

舞(うぅ…。やだなあ…)

半兵衛「また、現代か?」

舞「うん、そうです」

半兵衛「なぜ戻ってきたんだ」

舞「お母さんに背中を押されたのもあるけど、私の意志でもあるの…」

半兵衛「と、いうと?」

舞「現代より戦国時代の方が好きなの」

半兵衛「…舞」

名前を呼ばれた瞬間、抱き締められた

舞「…半兵衛さんっ?」

半兵衛「悪いな。お前を抱き締めたくなった」

舞「……っ」

半兵衛「お前を見ると、胸が締め付けられて、モヤモヤするんだ」

舞「半兵衛さんも…ふふっ」

半兵衛「……?」

秀吉「ほ、ほ、ほ。わしの予想は大当たりじゃ。」



舞「半兵衛さんも、私と同じだったんだ」

舞は微笑んで眠りについた

翌日

ブーブーブー

舞「ん……っ」

母「舞ー!朝よー、起きなさーい!」

舞「はぁい…。ふわ…」

母「おはよう、舞。今日は私と買い物に行きましょうね」

舞「うんっ!」

半兵衛「舞!舞!」

舞「…はっ!!」

半兵衛「どうしたんだよ、お前。寝ぼけてんのか?」

舞「あ…っ。夢か……」

半兵衛「なんだよ?」

舞「お母さんが、夢にでてきた…」

半兵衛「恋しくなったのか?」

舞「……」

半兵衛「はぁ、お前は世話が焼く」

舞「そんなこと言わないでよ…っ」

半兵衛「舞、こっち向け」

舞「なんで……」

半兵衛「お前の寂しさは俺が埋めてやる」

舞「……っ」

舞「なんで、そんなかっこいいこと言うのよ」

半兵衛「言いたくなったから」

半兵衛「かっこよかったか?」

舞(これじゃ、半兵衛さんの思うつぼだ…)

舞「全然っ!かっこよくない!」

半兵衛「そりゃあ、残念なこった」

舞「ふ…ふふっ」

半兵衛「ははっ」

部屋中に私たちの笑い声が響いた

おみな「お姉さま、今日の仕事の時間だよ!」

舞「ふぅー。うん!今行く!じゃあね、半兵衛さん」

半兵衛「おう、張り切っていけよ」

舞「もちろんっ!」

私はウィンクをして部屋を出ていった

半兵衛「あいつには適わねぇな」

おみな「すごい笑い声が聞こえたけど、どうしたの?」

舞「んー?別に」

おみな「そんな顔には見えないよ、お姉さま」

舞「ありがと」

おみな「褒めたつもりなかったんだけど…」

舞「で、今日の仕事は?」

おみな「お裁縫!殿や家臣のみなさまの羽織を作るのよ」

舞「お裁縫なら得意よ!がんばろ!」

おみな「お姉さまやる気満々ね!私も頑張らないと!」

数分後

舞「できた!」

おみな「早い!!」

おみな「誰にあげるの?」

舞「…誰にあげるんだろう」

おみな「最近仲の良い半兵衛様は?」

舞「いやよ」

おみな「じゃあ、私が半兵衛様で、お姉さまが
秀吉様!」

舞「それがいいわ!早速行こう!」

秀吉の部屋にて

舞「秀吉様、私からの贈り物です。羽織を作ってみたんですけど…」

秀吉「おぉ!見事じゃ!さすが姫」

舞「ふふ、ありがとうございます♪」

秀吉「色合いもわしの好きなものじゃ。着てみる」

舞「どうですか?」

秀吉「素晴らしい!ちょうどよい!ありがとうな」

舞「いえ。失礼します」

おみな「お姉さま!」

舞「どうだった?」

おみな「半兵衛様、大喜びだったの!」

舞「よかったね!私もよ!秀吉様大喜び」

おみな「お互い、大成功ね!」

舞「えぇ!」

おみな「いっけない、私これから城下に行かなきゃ!じゃあね、お姉さま」

舞「うん!気をつけるのよ」

おみな「はーい!」

舞(私は部屋に戻ろう)

半兵衛「おい」

舞(なんでこんな時に…)

半兵衛「返事は」

舞「なによ」

半兵衛「あの羽織、おみなが作ったのか?」

舞「そうよ。そうでなきゃおみなが渡しに行かないでしょ」

半兵衛「…そうか。ここ、ほつれてた」

舞「おみな、今さっき城下に行ったのよ。残念ね」

半兵衛「待て」

舞「なによ」

半兵衛「お前が直せ」

舞「なんで!おみなが作ったんだからおみなに言いなさいよ!」

半兵衛「お前じゃなきゃ嫌なんだよ!」

舞「………っ!」

舞「誰でも出来上がるものは同じよ。部屋に戻るから…」

半兵衛「舞!待てよ!」

舞(今は、話す気になれない…)

半兵衛「待てってば!」

ぐっと力強く腕を引かれた

舞「……いたっ」

半兵衛「悪い…。お前、冷たすぎ、何かあったのかよ」

舞「なにもないわよ」

舞(もう…。自分で言っといて…。おみなに悪い…。)

そして舞は気付かされた。これは嫉妬だということを

半兵衛「舞…?顔、赤いぞ」

舞「ほっといて」

その場から部屋に部屋まで猛ダッシュした

バタン!襖が壊れるほど強く閉めた

舞「あぁ………。もう!」

舞(おみなが作った羽織を半兵衛さんが着てるんだ…)

そう思うたび、胸が痛い

舞「自分で嫌って言ったのに…」

半兵衛「秀吉様の羽織は私が作るって?」

舞「……っ」

半兵衛「秀吉様がやけに笑顔で、何かと思えばお前が秀吉様の羽織を作ったって」

舞「…ごめんなさい」

半兵衛「謝ることじゃねぇよ。…でも、悔しいぜ?好いた女が別の男には羽織を作ったってことが」

"好いた女"その言葉に胸がはねた

舞「ほつれたところ…見せて。直すから」

半兵衛「ありがとな」

舞「…できた」

半兵衛「さっきのより鮮やかになったな。礼を言うぞ」

舞「ううん、いいの」

半兵衛「お前の好きな奴は誰だ?」

舞「背が高くて、かっこよくて、乱暴で、破天荒で、そのくせ突然優しくなって、掴めない人…」

半兵衛「それはつまり?」

言葉に出すのが恥ずかしくて抱きついた

舞「私の胸の中にいる人…」

半兵衛「へぇ…?お前、それはずるいぞ」

顔が近づいて、唇を奪われた

舞「ん……っ。半兵衛、さん…」

半兵衛「なんだよ、甘い声出しやがって。手加減しねぇぞ?」

恥ずかしくて半兵衛さんの胸に顔をうずめた

この夜のことは忘れられない―…
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