俺様外科医に求婚されました
「あのっ…ごめんなさい」
「えっ?」
「そうとは知らずに、失礼な態度を取ってしまったこと…本当に…すみませんでした」
深々と頭を下げ、精一杯の気持ちを込めて私は大和先生に謝った。
「何でキミが謝るんだ。とりあえず顔上げろ、ほら」
そっと肩を揺すられながらそう言われた。
けれど、私は頭を下げ続けた。
いくら知らなかったとはいえ、私のとってきた態度は本当に酷いものだった。
あの時だけではなく、あの日からずっと。
この人のことを、ただの軽い、ウソつき男だと思い続けて素っ気ない態度をとっていたのだから。
「失礼な態度ばかりとってしまったこと、本当に申し訳ありませんでした」
「だから謝るのは俺の方だって。二ヶ月も遅らせたんだから」
足元を見つめていると、その足が一歩前に近付く。
すると次の瞬間…ふわりと何かが肩にかけられた。
「こんな薄手のカーディガンじゃ寒いだろ」
そう言われ、思わず肩に目をやった。
えっ、これって…。
ハッとした私の視線が、自然と大和先生に向く。
白のカットソー姿だけになっているその姿を見た私は、やっぱり…と慌ててそれを肩から外そうとした。
だけどすぐにその手は掴まれて。
「おいおい、俺の優しさを無駄にすんな」
そう言うと、もう一度私の肩に合わせるようにきちんとそれを羽織らせてきた。
私の肩にかけられていたのは、大和先生が着ていた黒のジャケットで。
夜風が吹くと、ほんのりと爽やかなシトラス系の匂いがした。