たとえ嫌だと言われても、俺はお前を離さない。
告白と過去
デートって……何これ。先生、メッセージを送る相手間違えた?

あ。でもその下に【桃城の都合のいい日時教えて】って書かれてる。送り間違いじゃ……ない。


どういうこと? デートって?


廊下で思わず立ち止まりぽかんとしていると、「そんな所で何突っ立ってる」という聞き覚えのある声が背後から聞こえる。


「部長。す、すみません」

振り返って謝罪を口にすると、彼は「まったく」と言いながらも優しい手つきで私の頭を撫でる。


「だ、誰が見てるから分からないから、駄目です。職場でこういうのは」

「ああ、そうだな。悪い」

悪い、と言いながらも小さく笑っている。
この表情も何度か見てきたけれど、職場で見るのは初めてだったから、やっぱりドキッとしてしまった。彼の笑顔にはまだ慣れない。


「で、何を見ていたんだ? 携帯か?」

「あ……」

彼の視線が私が右手に持つ携帯に移る。

このメッセージのこと、言った方がいいのかな?
でも、部長は私のことを想ってくれている訳だし、気を悪くするかも。
更に、それが原因で部長と先生の仲が悪くなったらどうしよう⁉︎ 本当、先生ってば何を考えてこんなメッセージ送ってきたの⁉︎


……でも、ここで誤魔化したところで、いつかはこのメッセージのことが部長の耳に入るかもしれない。だって、白川先生本人が部長に話す可能性だってあるんだから。

それなら、今言ってしまった方が良いんじゃないかな……と思い、だけど何て言ったらいいか分からず、私はおず……と携帯画面を部長は見せた。
< 29 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop