=ウサギくんとオオカミさん=


彼女がいるなんていった日には、こんな風に質問攻めにされることはわかりきってた。
それに対応するスキルはない。



「だから!姉ちゃんも、ちゃんと自分の幸せ考えろよ!」

「…なに。あんた姉ちゃんの事心配してるの?」

「心配っていうか…。俺は…」

「凛が余計なこと考えなくていいの。私の幸せは、凛の幸せなんだから」




そういうことを言う。
俺の幸せが姉ちゃんの幸せだなんてこと、絶対にない。

姉ちゃんだって、姉ちゃん自身の幸せを見つけるべきだ。
姉ちゃんが、俺に責任を感じて背負い込む必要なんてない。

俺はもう、自分で戦えないような弱い男じゃない。
一人で立っていられる。



「そんな事言ってると、誰も嫁にもらってくれなくなるぞ」

「うるさいわね!大丈夫よ!」




どう言えば伝わる。
わからない。

俺には、なんて言ったらいいのか、わからない。



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