チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
「もう少し・・半年!6ヶ月でいいから。離婚は待ってください!」
「え?ちょ・・・やだ、やめてよ」

気づけば僕は、額を床にこすりつけながら奥さんに土下座していた。
恥とかプライドとか、そんなことは一切頭の中にはなかった。
ただ必死だった。それだけだ。

そんな僕を立たせようと、奥さんが僕の方へ近づいて、目線を合わせるようにしゃがんできた。
僕は、すぐ間近にいる奥さんを、すがりつくように、そして離したくないという想いを示すように抱きしめた。

「お願いだから僕と別れないでくれ!少なくとも今は、まだ・・僕、まだ、き、君と・・」と言いながら、ハタと思い至った。
僕はまだ、奥さんの名前すら知らないと。

次の瞬間、「離してよ!離して!」と叫ぶ奥さんの声が聞こえて、僕は慌てて奥さんを離した。

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