チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
「あの・・・僕が“りげんさん”じゃないって、いつから気づいてたの?」
「初めてあなたに会った昨日の晩」
「そんなに早くから!?」
「そりゃそうよ。でもそのときは“あれ?なんか違う。まるで別人みたい”って思った程度だったんだけどね」
「そっか・・」
「疑った理由は利き手だけじゃないわよ。あなたはあの人と違って、態度が何だかオドオドした感じで、私のことも初めて会った人みたいに全然知らないって感じで話してたでしょう?それに言葉遣いも違う。第一あの人は自分の事を“俺”って言うのよ。“僕”じゃなくて」
「あっ・・・!」

そうだった。
夢で「りげんさん」は、「俺」と言ってた・・・。
確かに「りげんさん」は、「僕」より「俺」の方が似合った外見してるよな。
僕は「僕」の方が似合った細身で貧弱な体つきだったが。

「それにね、私、あの人が土下座したり泣いたりしてまで何かを乞うところなんて見たことないわよ。大体あの人ってそういうタイプじゃないし」
「あ・・あぁ・・」

今の僕は、苦笑を浮かべるしかなかった。

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