男の娘。~絶対秘密の女装アイドル~
「今度、どこか行こうか?」

「えっ!?」

親父から耳を疑う様な言葉が飛び出す。俺は

衝撃のあまりフリーズした。

「さっきは叩いたりして悪かった。これか

らはもっとお前との時間を大事にするか

ら」

親父・・・

やっと、親父と心が通じた気がする。血が

繋がっていなくたって関係ない。きっと、今

日の喧嘩がいっそう俺達の絆を強くしたん

だ。

その日、俺は久しぶりに親父の寝室で二人

並んで眠りについた。翌朝起きた時にはキ

ッチンで珍しく親父が朝食を作っていた。

「親父、料理作れたんだな」

「瑞希に比べたら随分ヘタクソだけどな」

試しに料理を味見してみる。確かにドがつ

くほどマズかった。

「ごめん、やっぱりマズかったか?」

うん、正直マズいよ。

でもこの言葉はあえて呑み込む事にした。


「いいよ。親父が作ってくれたんだから、全

部食う」
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