bittersweet
「よろしく」

あのモデル風味の彼だった。ミサキとナナコがあからさまにがっかりしたような顔をしてるのがチラッと見える。

「あ、どうも」

サラリーマンみたいなあいさつを返す。

「じゃあ席も落ち着いたし改めて自己紹介ね」

久美の仕切りで自己紹介タイム。名前を順番に言っていく。

隣の彼の名前は「吉岡遼」くんだそうな。サトルくんと同じ大学の2年。

私と同じ歳だった。

私も「牧野琴美です。いちおうOLやってます」

適当にあいさつした後フリートークらしい。

「へぇ。どうりで他のコと雰囲気違うって思った。なんか社会人って感じだよね」

吉岡くんが話しかけてきた。

「あーたしかに歳の割りに老けてるかも。枯れてるって久美にも言われるし」

どう返していいかわからず無愛想になる。

「そんなことないけど。落ち着いてるなって」

吉岡くんが笑う。笑うと人懐っこい感じになる。

人見知りの上に男の免疫もない私だけどなんだか彼は話しやすかった。

吉岡くんは話の聞き方が上手で普段あんまり話さない私も結構自分のことをいろいろ話してた。

「琴美ちゃん、ここ無理やり連れてこられたでしょ」

吉岡くんは聞いてきた。

「無理やりってわけじゃないけど久美に人数あわせ頼まれたんだ。どうして?」

「なんか全然合コンってイメージじゃないし。それに待ち合わせのときもイヤイヤって顔してから」

結構見てるんだなぁと感心する。

話が盛り上がるという感じではなかったけどまったりと話し込んでたら結構な時間がたってたみたいだった。
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