只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜
急いで家を飛び出し、待ち合わせに指定した駅に向かう。

少し急いで10時5分前。

駅の入り口に来ると、悠哉は壁に寄りかかり立っていた。

「すみません!」
「…!あ、おはよう」
「おはようございます…」

美羽は俯いて挨拶をするが、悠哉は美羽の顎を掴みクイッと上を向かせた。

「下を向いて挨拶は無礼だよ、柊木さん」

悠哉はにっこりと笑う。

その笑顔が美羽には少し怖く見えた。

「とりあえず、来てくれて良かった…ん?」

悠哉は不思議そうな表情で美羽の目を真っすぐに見る。

恥ずかしくても目が逸らせない美羽は顔を真っ赤にして目を力いっぱい瞑った。

「…柊木さん、寝不足ですか?」
「ふぇ…?」

悠哉は美羽を離す。

「寝れなかったんですか?」

悠哉は本当に心配しているのか優しい声で聞いてきた。

美羽はその声にドキッと反応した。

「い、いえ!その…何と言いますか…」

美羽は誤魔化そうとしてまた俯く。

「ふむ…」

悠哉は息をついて少し強引に美羽の手を引く。

美羽は驚き、反応するのが少し遅れて転びそうになったが、悠哉は倒れそうになった美羽を腕で支えた。

「大丈夫ですか?急にすみません…」

美羽は前から気になっていたことを悠哉に聞いた。

「社長って…どうして私の前だと下手に出るんですか?」

美羽はキョトンとした表情で首を傾げる。

「そ、それは…」
「それは?」
「…っ」
「…?」
「い、いいから行きますよ!?」
「え。えええええ!!」

悠哉は頬を少し赤らめ、照れているのがバレないよう美羽の手を引いて美羽の前を歩いた。

駅から少し歩いたところにあるパーキングエリア。

そこに悠哉は車を止めていた。

「乗ってください」

悠哉は助手席のドアを開けて美羽を座らせる。

美羽を気にしながらドアを閉めて自分も運転席に乗る。

「シートベルト、してくださいね」

自分がシートベルトを締めると車を走らせる。

美羽は言われた通りシートベルトを締めた。
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