只今上司がデレデレちゅぅ！！〜溺愛上司に愛されて〜
美羽が退院できたのは入院してから一ヵ月後だった。

久々に家に戻った美羽は一ヵ月分の掃除を始めた。

ピーンポーン…

掃除が終わる頃、来客が来た。

「はーい…」

美羽は返事をしてドアをゆっくり開けた。

「美羽！大丈夫か！？」

そこにいたのは大荷物を持った美羽の父親だった。

玄関先で大声を出す父親を落ち着かせ家に上げる。

「どうしたの、お父さん」
「お前が入院したと聞いて、有給もらってきた」

こうして父親と会うのは実に数年ぶりで美羽は大学に入ってから実家に帰っていなかった。

「誰から聞いたの？」
「ああ、お前の会社の人だったが…って何で教えてくれなかったんだ！！」

上がったり下がったりとにかく今の父親はなんか忙しそうだった。

「ごめんなさい…。」

美羽は素直に謝る。

「あいつらも心配してたぞ…お金は入れなくてもいいから連絡よこしなさい！！」

父親は何も教えなかったことが不満なのかぶつぶつ言いながら人差し指でテーブルを叩いた。

あいつらとは美羽とものすごく年が離れた２人の弟のことだ。

美羽は最初大学に行くつもりはなかったが、父親と弟２人に反対された。

「たまには帰っておいで、美羽。」

落ち着いた口調で父親は言う。

「そして頼ってきなさい。家族に遠慮などいらんっ！」

父親は美羽の家に段ボール一箱分の野菜を置いて帰った。

「あ～あ…泣いちゃった」

美羽の緊張を解すことができたのはやはり父親。

美羽は流れて来る涙を止めることができなかった。
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