イルミネーションと君の顔。
そんな事を考えながら歩いていると、急に首筋が暑くなって僕は振り返った。
そこにはコーンポタージュの缶を持った細い手があった。
少し目を上にやると、どうにも見覚えのある顔がある。
こいつは高校の同級生、吉田葵月、妙に俺に絡んでくるめんどくさいやつだ。
ついでに言っておくと俺の幼馴染。
そして俺は聞く。
「なんだよ、いきなり。」
「どーせ一人なんでしょ?たまたま見つけたから、笑いに来てあげたんだよ♡」
ウザい。ただただウザい。
「お前も一人じゃないのか。」
「うっ…それを言われると…。」
こいつは容姿のおかげで周りから人気はあるが驚くほどのアホなのだ。
まぁその容姿と天然なキャラで周りの人間から告白されることも少なくはないらしい。
だがこいつには好きな人がいるらしくことごとくそれを振っていくらしい。
俺もまたそのひとりだが好きな人がいると言われちゃかなわない。
それを知って俺は未だ告白できずいる。そうとも知らずこいつは毎度毎度俺を誘うような素振りを取ってくる。それがまたウザいのだ。
「あんたまた私のLINE無視したでしょ?」
「別にいいだろ…。」
「良くないわよ。せっかくこの私がどーせクリボッチなあんたを誘ってやったのに…。」
彼女は頬を膨らませて怒っている。
「今結局こうして会っただろ。荷物持ちにでもするつもりだったか?
別に予定はないから良いけど。」
「でしょ?予定なんでしょ?ちょっと付き合ってよ。」
そう言われて俺は彼女について歩き出した。
< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop