俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「千和、出掛けよう!」

「……え、今からですか?」

突然の提案に驚くも、和臣さんは頷いた。

「あぁ、どうしても千和を連れていきたいところがあるんだ。待っているから準備しておいで」

え……それってもしかして、私の誕生日だから連れていきたいところなのかな。

嫌でも期待に胸が膨らむ。

「わかりました。すみませんが、リビングで待っててもらってもいいですか?」

「ありがとう。慌てなくていいからな」

気遣ってくれる彼に笑みが零れる。

「はい。でもなるべく急いで用意しますね」

彼をリビングに通して早速準備に取り掛かる。

けれどメイクを施す鏡に映る自分の顔は、ニヤけていて手が止まってしまった。

「どうしよう、嬉しい……!」

ニヤけていたらメイクできないのに。

「どこに連れていってくれるのか、楽しみだな」

今日これからのことを考えると、わくわくする。

素敵な誕生日になりそう。そんな予感を胸に準備を済ませ、彼の運転する車でマンションを後にした。
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