俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
「ちょっとお兄ちゃんいい加減にして! 今日は千和さんの誕生日なんだよ!? そんな日にっ……」


灯里ちゃんが叫ぶように言うと、さっきまで健太郎さんに文句を言っていた和臣さんの口は動かなくなり、ゆっくりと私を見た。

「え……千和の誕生日って……嘘だろ?」

目を見開き、私を凝視する和臣さん。

すると灯里ちゃんが私に代わって和臣さんに畳み掛けていく。


「嘘なわけないでしょ! お兄ちゃんってば本当に最低! 自分の彼女……しかも婚約者の誕生日を知らないなんて! 今までだってそうだけどお兄ちゃん、千和さんに嫌われても文句を言えないようなこと、たくさんしてきたからね! 少しは反省するべきよ!! 千和さんが可哀想。こんなお兄ちゃんが婚約者なんて」

灯里ちゃん……。

いつになく和臣さんを責め立てる灯里ちゃんに、和臣さんは大ダメージを受けているようだ。

その姿に健太郎さんは「灯里、よく言った!」と言う。

そして私の腕を掴み、彼女は訴えてきた。
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