見た目通りには行かない






それでも、恋人がいてるとわかったからと言って麗に恋する男がいなくなるわけではありません

なので、尊はこうやってちょくちょく顔を出しては牽制しに来ているのですが
もちろん、麗は気付いてはいません



「尊もコーヒー飲む?」

「………いや、もう行くよ」


可愛い麗に思わず、「もらおうか」なんて言いそうになったのを我慢している姿にこっそり笑っているのは麗を可愛がっている年配社員たち


笑うのを堪えながら部長が「川口さん、社長をお送りしてきて」と肩を震わせて


それは企画部ではこの一ヶ月でよく目にする光景


二人で話ながら出ていく姿を見詰めながら「ほぅっ」と溜め息をはく


美男美女の二人が歩く姿は圧巻で羨ましく、憧れる
かたや、やっぱり川口麗は正木尊の彼女なんだと再認識させられ項垂れる
そんな感情が入り交じった溜息


そんな男達を見付けては口角をあげる尊
言葉は少なくクールな社長は成りを潜め
キングと呼ばれる男はすっかり麗にベタ惚れ
麗の左手の薬指に指輪が光るのはそう遠くないでしょう


それでも尊もまた、女性社員からは憧れの存在であるのです
社長の肩書きに加え、スラッとモデルの様な佇まいに
男の色気を纏った姿に骨抜きにされる女性は後を絶ちません
しかし、麗とのツーショットを見れば諦めるしかないのです

川口麗と正木尊が恋人になるまでの、そんな二人の物語



ちょっと、覗いてみませんか?








< 5 / 98 >

この作品をシェア

pagetop