見た目通りには行かない






「そうなのか?」

「まぁな、光輝の勘は間違ってないな
遅咲きだろ?尊も
光輝とは違うからな
でも、俺も結局満たされなかったわ
女知っても猿にはなれなかったし
女を抱いても満たされない
まぁ、光輝ほどの性欲が俺らには無いんだろ?
俺もお前と一緒、その場かぎりの関係でさえも両手で足りる程度しか抱けなかったわ」


川口麗を想いながら抱いても川口麗じゃない
俺を満たせるのはあいつだけだ
まぁ、俺も尊も淡白なんだろうな


「それでも、お前は俺とは違うだろ
ちゃんと、付き合って好きな女を抱いただろ?
恋愛は向かないとか言うなよ」


尊も光輝も
いつか、ちゃんと付き合って欲しい
俺とは違う


「竜もな」


尊は俺の頭を小突くように叩いた


あーあ、やっぱりいい男


目頭が熱くなるのを必死で隠しながら悪態をつく


「俺らが若頭より早く結婚するわけにいかねぇからな
若頭が一生独身なんて止めてくれよ」

「そうだな」


若頭がこのまま誰とも付き合わなければ政略結婚だ
一生独身なんて絶対ない
尊だってわかっている


それども、出来れば好きな女と
幸せになって欲しいから





「中学生の時に絡まれていたところを助けて頂きありがとうございました
あの時の一本背負いは今でも私の目標です」




あれから、10年後再会した川口麗は
可愛くて綺麗で更にいい女になっていた



俺たちは25歳になっていた










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