“あなたを愛しています”
こんな状況なのに、司君の言葉が胸にしみた。
司君、私と結婚することを考えていてくれたんだ。
私のこと、本当に好きでいてくれたんだ。
私も……司君と結婚したい。
心からそう思うのに……
「あんた……親にどんな口聞いてはるん?
庶民の女と結婚しはるつもりなん?」
今まで黙っていた母親が、少し悲しそうな顔で司君に言う。
庶民の女……
その言葉が再び胸を抉る。
それでも必死に背筋を伸ばし、両親を見る私に、彼女はとどめの言葉を発した。
「司は、あんたと結婚は出来まへん」