“あなたを愛しています”





菜々子ちゃんが後継ぎになる?

……菜々子ちゃんがお見合い結婚する!?

俺が背負ってきた重圧を、菜々子ちゃんが背負うことになる!?

考えただけで胸が張り裂けそうだ。






菜々子ちゃんは笑顔で俺を見て、明るい声で告げる。




「女の私は、今まで自由にさせてもろうた。

お兄ちゃんと違うて、楽しゅう暮らしてきた。

だから、今度は私ん番やで」





なんで……なんでそんなこと言ってしまうの?
そうやって、自分を犠牲にしないでよ。





「……伝統が何なの?

……後継ぎが何なの?

こんな窮屈で時代遅れの伝統なら、消えてしまえばいいよ!!」




俺はとうとう叫んでいた。


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