ほんもの。
ほんものを抱き占める。
子どもみたいだと笑って。
笑い飛ばしてくれたら良い。
来てって、もしかして実家のことだったのかも。
と、思いついたのは終わって、ぐったりとベッドにうつ伏せになった時だった。安藤が肩を掴んで仰向けにしてくる。
口付けを落とされて、シャツを頭に被せられる。「風邪ひくだろ」と面倒見の良いことを言う。
「あのさ、安藤」
腕を通してまた横になった。安藤は視線で何かと言う。
「実家、行くよ」
「……いや、来なくて良い。あんな風に話すことじゃなかった」
隣に寝転んで毛布をかけてくれた。