し ろ う さ ぎ





「別に二人が目つけられんのはどうでもいいけどこっちまで被害に遭いたくないし」


「……っあのねぇ」


「……紗耶っ」



思わず掴み掛かろうとした紗耶を抑える。


そして改めてクラス中を見て、あたしは人知れず落胆する。


クラスメートの発したその言葉に皆思うことは同じなのか黙って俯いていたから……。




「……はぁ。
……馬鹿馬鹿しい」




そう言って紗耶は至極機嫌を損ねた様子で席につく。


タイミング良くとも言うべきか担任が出席を取りに来て。

それをキッカケに散り散りになっていたクラスメートも自分の席に着き始めた。



……斎川君は何も言わない。

それどころか何を考えているのかすら、分からない。


隣をチラリと見てみても……何にも分かんない。

あたしに……出来ることさえも。

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