銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
13、彼の腕の中
「おい、行くぞ」

踊り子の舞の後、ネイサンとかいう頰に傷のある男に声をかけられ、無理矢理立たされた。

「さあ、ついて来るんだ」

命令に逆らうことも出来ず、ランプを手に廊下を歩くその男の後を黙ってついて行く。

私が逃げるのを警戒してか、後ろからシャーロットがついて来た。

どこへ連れて行かれるのだろう?

不安が私を襲う。

オークションの時のことが頭をよぎり、男達に乱暴されるのだろうか?とも考えたが、サーロンが私に夜伽を命じたから違うと思った。

サーロンのような強欲で傲慢な男がそれを望むとは考えられない。

男達に襲わせるにしても、用なしになってからだろう。

さっきまでいた広間を出て右手の長い廊下を歩き、突き当たりにある螺旋階段を登る。

だが、足枷をつけていては、重くて動きにくい。

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