銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「動くな!」

近衛隊長らしき体格のいい赤髪の男が叫んで、この場から逃げようとした男達はガクッと項垂れた。

「大丈夫か?」

銀髪の男が優しく声をかけてくるが、ひどく動揺していて言葉を発することが出来ない。

それに、ここで彼に再会するなんて信じられなかった。
……幻でも見ているのかも。

それに、長旅の疲れのあったし、今までずっと気を張り詰めていたせいか、身体の力がスッと抜けて目が霞んでくる。

……いけない。

近衛兵に私の正体がバレれば捕まってしまうかもしれない。

ダメ……。しっかりしないと。

しっかり……し……。

自分に必死に言い聞かせるが、瞼が重くなって、静かな闇がパックリと私を包む。

次に目が覚めた時、さらなる衝撃の展開に私は絶句した。
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