銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
その発言にまた彼にいいように翻弄されたと知り、悔しくてキッと睨んだ。

だが、ジェイは澄まし顔で「通せ」と言うと、サッとベッドを出る。

「セ……エ、エミリー様〜!」

気が動転していたのか、呼び名を間違えそうになったクレアが涙ぐみながら部屋に入ってきて、毛布の上から私を抱き締めた。

「ご無事で良かったです。心配したんですよ」

「ごめんなさい」

自分もクレアを見て安心していたら、涙が溢れそうになった。

「俺は出るから、着替えるならこの部屋を使うといい」

私とクレアにそう伝えると、ジェイは赤髪の近衛兵に耳打ちして部屋を出ようとする。

「エミリー様を助けて頂いてありがとうございました!」

クレアがジェイの背中に向かって礼を言う。

私をからかった彼にはムカついたけど、助けられたのは事実。

「……ありがとう」
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