オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
人気女優、結城梓の元彼が浩太郎さん?

そんなこと聞いてない。

というよりも浩太郎さんとの出会いからお付き合いまでがジェットコースターのようだったから
浩太郎さんの過去まで気が回ってなかったというか……

「宮園さん?」

「あっ……そうなんですか。でもお似合いですね」

私たちが付き合っていることは誰も知らないからこんな言葉しか返せないのだ。

でも悔しいぐらいにお似合いで文句のつけようがない。

美男美女……その言葉はあの二人のためにあるようなものだ。

浩太郎さんが見守る中、結城梓の撮影は順調に進んだ。

私の撮影とは雲泥の差だ。

いや、比較するのもおこがましい。

「はーい!OK。梓ちゃん最高だったよ!」

カメラマンの掛け声で撮影が終わり、みんなが拍手を送る。

「こちらこそありがとうございました」

表情一つとっても可愛く、色気もある。

もし結城梓がチーフの言う通り浩太郎さんに未練があるというのなら、見た目の段階ですでに私は負けている。

どうしたらいいんだろう。

そんな思いでスタッフと笑談している結城梓を少し離れた場所で見ていた。
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