オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
すると副社長は私の顎に手をかけクイッとあげる。

「そんなことはない。俺は昨日のアンタに一目惚れした。だからあとはお前が俺を好きになれば良いだけのこと。安心しろ。お前は絶対に俺の事を好きになるから」

何気に告白されたけど上から目線だし、凄い自信家。

このぐらいの自信家じゃなきゃ会社のトップには立てないとおもうけど仕事と恋愛は別物だ。

それに私の気持ちとか全く考えもせずに一方的にいわれたら私だって面白くないし意地でも好きになんてなってやるもんかってなっちゃう。

「多分好きになんてならないと思います」

視線を反らしながら答えると顎にかけた手がぱっと離れる。

そして「それはどうだかね」またも自信たっぷりに言うと副社長は自分のデスクに向かい受話器を持った。

「ああ俺だ。これからの予定はどうなっている?」

どうやら秘書に電話をかけているようだ。

そして電話を切ると再び私の方へとやってきた。

「19時に1階のエントランスで待ってろ」

「はい?それはどういった用件で?」

嫌な予感がする。

「いいから。これは命令だ」

相手はわが社の副社長。拒否権なしの命令口調に私は従わざるを得なかった。
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