オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
「うける~~」

金曜日のお昼に里香子とランチに行き、副社長が先日帰り際に言った事を話したら案の定、手を叩きながらかなりウケている。

完全に他人事でしかも私が困ってるって言ってるのにそれを楽しんでいる。

「そもそも付合ってないのに親への挨拶視野に入れてるってよっぽど遙に夢中なんだね」

「そんなんじゃないし」

不貞腐れながらサンドイッチにかぶりつく。

「あらそう?この際だから言っちゃうけど、10年も付合ってた元カレは結婚をちらつかせるだけちらつかせておいて結局遥より一目惚れを取ったのよ。そんな男と比べたら一目惚れして即気持ちを伝えてしかも結婚まで考えて親に会う覚悟も出来てるなんて断然男気感じるけどね」

う~~。確かにそうかもしれない。

だけどまだ自分の気持ちが追いついてないにグイグイ来られるのはどうかと思う。

「ま~遥の気持ちも分からないでもないけどね。気持ちを切り替えるにしても10年の重みは当人にしかわかんないし……」

「そうなの。そこなの」

思わず力がはいり持ってたサンドイッチを握りつぶしそうになった。

「でもその強引さのおかげで元カレの事を思い出す余裕がないのも事実な訳じゃん」

「確かにそうだけど……」


「とりあえずさ、副社長のことをもっと知る為にも付合ってみたら?ほら、失恋の特効薬は新しい恋に限るっていうじゃん?」



失恋の特効薬か……私に効き目はあるのだろうか。
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