オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
最後の『ズバリ好きなタイプを教えてください』

と言う質問に対して副社長は「広報の宮園遥さん」と私の名前が載っているではないか!

「こ、こんなこと私書いてない!」

「うん。実際にそうだったとしてもさすがに遥が自分の名前を書くとは私も思ってない」

ですよね。

だってこの部分はめっちゃ神経を使ってオブラートで何十にも包むように曖昧で誰にでもチャンスがあるかのように書いた。

それに下手な事は書けないと何度もよみ返しては変更し、ほぼほぼ素の副社長を封印したような記事にしたはずだった。

こんな女性社員を敵に回すような発言を私が載せるわけがない!

「これってさ~~誰かが書き換えたよね~」

里香子が社内報をヒラヒラさせながらミーティングルームの内窓のカーテンをチラリと覗いた。

その視線の先にいたのは後藤課長。

今回のインタビューのことを知っているのは里香子と私。そして後藤課長。

でもこれは後藤課長が自ら書き直したわけではないのも分かる。

恐らく印刷前に後藤課長が副社長にこんな感じですって見せて、この部分を変更しろと指示したんだろう。

映像が頭に浮ぶ。後藤課長が副社長には逆らえないのも想像出来る。

「里香子。私聞いてくる」

「うん。ま~~ほどほどにね。あんた怒ること怖いからさ~~」

「分かってるって。それに悪いのは副社長。とりあえず事実確認だけ」

私はロックを解除してミーティングルームを出た。案の定みんなの鋭い視線が私に向けられたが仕方がない。


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