嘘つきな君
だけど、その道を選んだのは私。

誰でもなく、私自身。

だから、後悔なんてしていない。

これぽっちも――…。






「やぁっ……んっ」


止む事のない情事。

互いの間にあるもの全部取り払って、生まれたままの姿になる。

冷たいシーツと、燃えるように熱い彼の体が私を包む。


「んっ……あぁっ」


愛する事を許された私達は、一緒に堕ちていく。

固く繋がれた手だけを信じて、どこまでも堕ちていく。


絶え間なく揺れる世界の中で、私の頬に大きな手が添えられた。

伏せていた瞳を持ち上げると、チュッと優しいキスが瞼に落とされた。


「芹沢」


甘いハスキーボイスが、熱い吐息と共に耳元に注がれる。

その瞬間、体の芯を疼かせる。

ビリビリと甘い痺れを感じさせる。


「好き……」


世界が崩壊する前に、もう一度そう呟く。

すると、彼は嬉しそうに瞳を細めて、答えるように私の頬にキスをした。

綺麗な顎先からポタリと落ちた一粒の汗が、私の胸に落ちる。

潤んだ瞳が、息も絶え絶えな私を見つめる。


「もう一回」

「……え?」

「もう一回言えよ」


ギシギシと揺れる世界の中で、口の片端を上げた彼がそう言う。

その言葉に、その表情に、胸が締め付けられた。

あまりにも愛おしく思えて、涙が込み上げる。

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