初恋の人
第4章 強い花
その日の夜。

私は夫に、子供の事を話そうと、布団に入る前に向かい合って、座りました。

「あなた、お話があります。」

「どうした?」

改まって目の前に座る私に、夫は不思議そうな顔をしました。


「……子供が、できたんです。」

夫は、目を大きく開けて、私の両肩を掴みました。

「本当か!」

「はい。」

夫は勢いよく、私を抱きしめてくれました。

「よくやった。よくやったぞ、綾女!」

夫が、これ程までに喜ぶ顔を、私は初めて見ました。


こんなに喜んでくれているのに、お腹の子供は、夫の子ではない。

悲しくて、涙が出てきました。

「綾女?」

夫は、私の顔を覗き込みました。

「どうして泣いている?」

私は涙を拭き、真実を告げました。


「お腹の子供……3か月なんです。」

「3か月?」

夫はしばらく考えると、途端に私から離れました。

「何かの間違いだろう?」
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