ロマンスがありあまる
「み、見とれてなんかいませんよ。

かっこいいなとは思いましたけど」

そう言い返した私に、
「それが見とれているって言うの」

専務は言い返した。

「別に見るだけならいいじゃないですか」

「僕は嫌だね、婚約者が自分以外の男を見ているなんて」

「だから婚約者じゃないって言っているじゃないですか…」

私は周りを見回すと、
「別に私じゃなくてもいいような気がしますよ。

他にもたくさんいるじゃないですか」
と、専務に声をかけた。

「キレイな人ってあんまり好きじゃないんだよね」

そう言った専務に、
「どうしてですか？」

私は訳がわからなくて聞き返した。

「近くに寄ると蹴飛ばされそうで怖いじゃん」

専務は答えた。
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