ロマンスがありあまる
「そ、そんなこと、私は…」

反論しようと思って開いた唇は、専務の唇によってふさがれてしまった。

ま、また…!?

2度目のキスはすぐ、それも証明のためだった。

何これ、どう言うことなの…!?

好きでもない人にキスをされていると言うのに抵抗できないのは、先ほどの件があるからだろうか?

事故とは言え、うっかりキスをしてしまったからだろうか?

「――ッ…」

唇が離れた。

「――そんな顔をされると困るんだけど」

専務が言った。

「えっ…?」

専務の瞳に、私はどんな風に映っているのだろうか?

「僕にも我慢と言うものがあるんだ、今日はこれくらいにしてくれ」

専務はそう言うと、車を発車させたのだった。

何が言いたかったんだ…?

揺れる車内の中で、私はどうすればいいのかわからなかった。
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