永遠に叶えたい愛がある。



「…私、宗平の妹で綾美って言います」



パッと顔を上げたかと思うと、勢いよく綾美さんが自己紹介した。



ああ、そうか。



2回会ったことあるけど、ちゃんと面と向かったのは初めてだったっけ。



会ったことあると言ってもほんの数分くらいしか顔を合わせてなかったけれど。



なのに綾美さんは私の顔を覚えていたんだな。



「私は千曲紗英です」



私がそう応えると、綾美さんは何とも言えない表情で微笑んだ。




「実は紗英さんのこと知ってました。…あ、紗英さんで大丈夫ですか?」



「え?ああ、どうぞ」



なんとなく下の名前で呼ばれるのは違和感があるけれど、でも断るわけにもいかない。



というか、まさか私のことを知っていたとは。



「バスケで有名でしたよね。実は私もバスケやっていたので…」




なるほど、だからさっき会ったときも顔がわかったのか。




県外にも知れ渡っていたとか、それも驚きだけれど。




「だから必然ですよね、宗平と紗英さんが仲良くなるのも…」



そう言って綾美さんはまた俯いた。



やっぱりその話出ますよね。



出ないわけがないですよね。



あまり話したくもないし、聞きたくもないけれど。



私はコーヒーカップの底に残ったコーヒーを飲み干して一息吐いた。






< 163 / 173 >

この作品をシェア

pagetop