永遠に叶えたい愛がある。




「相変わらずだな、チクワ」




宗平がぐちゃぐちゃであろう私の顔を見て言った。



“チクワ”の響きに懐かしさを抱き、さらに涙が出る。





「…てよ~、そのアダ名」




あの頃はそう呼ばれるのが嫌だったな。



今思うと本当に嫌だったのかは自分でも定かではないけれど。




しかし、涙が止まらない。




次に会ったときは笑って会いたかったのに。




そもそもこんなはやく会えるとは思いもしていなかった。




会えるかもと思ってこの喫茶店に通っていたのは事実だけど、実際に会えるとは…


 

「あれからまだ1か月半も経ってないのか」





まもなく9月を迎える今日だけれど、冷たい雨が降っていたあの時期を懐かしく感じる。





ずいぶんと長い時間を過ごした気がした。






「元気だったか?」





おしぼりで口元を押さえて呼吸を整える。





「…うん。宗平は?」





声を発して大きく息を吸うと、やっとさっきと違うこの空気に慣れた。





「まあまあだな」
< 172 / 173 >

この作品をシェア

pagetop