空を拾う



「おい、大丈夫か」


 何度か呼びかけてもなかなか答えない。

 諦めて立ち去ろうとしたその時だった。


「大丈夫じゃない」


 突然、右手首を掴まれて振り向くと、しゃがんだままの女が悟を見上げていた。


 月明かりに照らされた顔は青白い。悟は女の深い藍色の瞳に心を奪われた。


「私を拾って」


 気がついた時には、女の手を取っていた。





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