カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
営業部が近づくにつれて、ちらちらと視線を浴びる。

賢の言う通り、営業部で話題になっているからだろう。

武内さんと並んで歩いていく。

視線を感じる。


「俺は営業事務に用だから。」

「はい、部長の所へ行ってきます。」

「一人で戻らないで。あー、賢が…………いるな。一緒に待ってて。」

「はい。」


各々の用に向かう。

一番奥にあるデスクに座る男性に近づいていく。

勿論、視線が突き刺さるのを感じる。


「失礼します。副社長秘書の雨宮です。」

「明日の会議の件かな?」

「はい、予定通りで大丈夫でしょうか?何か用意などありましたら。」

「ちょっと待ってくれる?」


部長が席を立ち上がり、どうやらプロジェクトリーダーの所に向かったようだ。

辺りを見渡せば、ちらちらと女性社員の視線が集まっている。

さらに見渡せば賢と目が合う。すると私の方へ歩いてくる。


「心菜。」

「賢、お疲れ様です。」


軽く頭を下げて挨拶する。


「部長?」

「うん、明日の確認に。」

「お疲れ。」


立ち話をしていれば、部長が席に戻ってきた。
< 127 / 216 >

この作品をシェア

pagetop