カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
そんな風には見えなかった。

慈英の容姿や副社長という肩書き、それに大企業の御曹司。

怖いものなんてない感じだ。


「心菜の前では余裕なんてなかった。」

「女慣れ…………。」

「それも隠し通したかった。それで嫌われるのが怖かったから。」


過去の女は慈英にとって隠し通したい過去らしい。


「やっと結婚できるし、子供も欲しいって思ってる。」

「子供…………。」

「欲しくない?」


また縋るような視線を向けてくる。

この瞳に弱い。


「欲しいかも。」

「俺の描く未来には心菜、それに子供達もいるから。」


慈英の未来に私もいる。

その言葉が凄く嬉しい。


「やっと俺の想い描いた未来が現実になろうとしてる。だから俺は容赦なく心菜との結婚を進めるから。」

「…………。」

「良いよね?」


また縋るような視線を向けてくる。

私だけに見せる視線。


「心菜、良い?」

「うん。」


答えるしかない。

私も慈英と同じ未来を想い描いているから。

目の前で幸せそうな顔を見せる慈英と前に進んでいく決意は固まっているから。
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