カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
年度末になれば、やっぱり慈英の忙しさは増していた。


「副社長、本日の予定ですが、役員会議が10時から、午後も14時から入っております。」

「わかった。恵に一緒に出席するように伝えて。」

「はい。」

「雨宮、これを人事部に。」

「はい。」

「それと…………。」

「はい。」

「ごめん、今週末は出社だ。」

「はい。」


仕方ない。

毎年の事だから、副社長である慈英が忙しい時期なのは知っている。

それでも2人で決めたい事があった私は少し不機嫌になってしまう。


「それでは失礼します。」

「雨宮、悪い。」

「謝る必要ありません。週末は恵さんか賢に付き合ってもらいますから。」

「雨宮。」


副社長の咎めるような口調が聞こえたが、無視して副社長室を出た。

少しくらい反発もしたくなる。

忙しい時期なのは理解してるけど、やっぱり2人で話し合って決めたい。

それが忙しさで疎かになっている気がしていたから。

こんな子供染みた私は嫌だ。

だけど2人の結婚式なのに、結局はドレス選びも恵さんと武内さん、それに賢と行った。

忙しい慈英は仕事を理由に来れなかったのだ。
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