カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
名前を呼ばれただけなのにドキッとしてしまう。

岬さんの視線と交わる。

鼓動が速まっていくのを感じる。


「心菜、俺と付き合って。」

「岬さん?」

「慈英。」

「えっ?」

「俺の名前。」


見つめ合う2人の雰囲気が明らかに変わる。

きっと岬さんの大人の雰囲気が醸し出すオーラに私が包み込まれているからだろう。


そっと囁くように話す岬さんの声が甘く聞こえてくる。


「心菜、付き合って。」

「でも岬さ…………。」

「慈英。年の差とか環境とか関係ない。俺は心菜が欲しいだけだ。」

「…………。」

「俺と恋を始めてくれないか?」


恋を始める?


「俺と恋を始めよう、心菜。」

「恋を始める?」

「そう。俺では嫌?」

「…………嫌じゃない。でも…………。」

「一歩踏み出して、俺と恋を始めよう。」


恋を始める…………


「俺と初めての恋愛をしてくれないか?」

「私なんかでいいの?」

「心菜がいい。」


目の前で微笑む岬さんを見つめる。

初めての恋愛か。


「宜しくお願いします。」


そう答えていた。
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