カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
「配属はどこだった?」

「…………賢は?」

「俺はまだ見てない。じっと動かない心菜が見えたから気になって。」

「秘書課。」

「ん?」

「だから秘書課。」


目と目が合う。

賢も私の意外な配属先に固まった。

状況が理解できてないようだ。


「だから秘書課。」

「秘書課?新人の仕事なのか?」

「わかんない。」


私も同意見だ。

何も知らない私が秘書課なんて勤まるのか?


「ふ〜ん、頑張れよ。」


それだけ言うと、賢は自分の席に向かっていった。

その後ろ姿をじっと見送る。

徐々に席に座り始める同期を見渡す。

皆んな、机にある社員証を興味深く見つめているようだ。

もう一度目の前にある私の社員証を手に取って、配属先をじっと見てみる。

やっぱり秘書課だ。


「秘書課。」


小さな呟きが漏れていた。
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