カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する
「心菜ちゃん、兄の思惑だから。」

「えっ?」


突然名前で呼ばれて恵さんを見る。

にやにやとした表情が三兄弟と重なる。


「副社長秘書。どう考えても兄の思惑でしょ。」


恵さんの言葉に周りを見渡す。

他の社員に聞かれでもしたら大変だ。


「ふふっ、大丈夫。誰もいないから。」

「副社長の思惑?」

「そう。いつも側に置きたいのが丸わかり。」

「秘書なんて大丈夫ですか?」


不安を口にすれば、綺麗な笑みを浮かべる恵さんは本当に美人だ。


「大丈夫よ。私がみっちり教えるから。」

「はい、お願いします。」

「先ずは見た目ね。今日の帰りに少し洋服を選ぶ必要ありかな。」

「あっ、はい。」


まさか秘書課に配属されるなんて思わなかった私は地味目のスーツを着ている。

確かに秘書課の女性は見た目にも気を使っているように見える。


「副社長室に案内するね。」

「はい。」


大きく頷いてみせた。
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