夢のままでいたい。
白い細工の細かい車椅子に腰を下ろし、カラカラと車輪を回す。

電動の車椅子だったらこうして手動で回す必要はないのだが、父上や兄上が「一緒にいる時ぐらいゆっくり歩きたい」と言って誰かに押してもらう形のものを買ってきた。

私としても、誰かと話すのは好きだし、周りの風景をのんびり見ることが出来るのは大変有難い。
しかし、こうして1人で動く時は面倒だ。あまり長距離の移動はできないから。

手を伸ばして金色のドアノブを回して、扉を開くと、焼け付きそうなほどの赤が純白であったはずの廊下に広がっていた。
< 2 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop